赤裸楽日記

備忘録Blog

読書感想:拳闘士の休息 トム・ジョーンズ

生きる事が辛い人達

そこを照らす光は何色か?

 

なぜこの本を手に取ったか分からないけど、amazonの紹介文

心身を病みながらも疾走する主人公たち。冷酷かつ凶悪な手負いの獣たちが、垣間みる光とは。」

に惹かれて読んだ。

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独特の雰囲気の小説。一人称で淡々と語られ改行もほとんどない、なんだか一気にガシガシと責め立てられる感じがする。

その雰囲気は、訳者(岸本佐知子)のあとがきにある、「この作家の最大の魅力はその声である。何かがごつんごつんとぶつかってくるような声。不器用で、怒りを秘めた、それでいて不思議に美しい声。はっきりと"動"である。」

これに集約されている気がする。訳者が伝えたかった雰囲気、良く伝わりました。

 

形は短編集。

Part I~IVまであり、それぞれに関連のある短編が3篇前後入っている。例えば、Part Iはベトナム戦をベースにした癲癇持ちの兵隊の話。最初、それぞれが独立してるとは思わなかったので「話に付いていくのが何だか難しいなぁ」って思ったけど、それぞれが短編だと理解すると付いていけるようになった。

 

内容は、心身に何らかの病み(闇)を持つ人々の生き様が語られる。ただ、そのいわゆる社会的弱者に対するうんぬんかんぬんとか、そういう倫理を解く話では全くない。

そういう病み(闇)に立ち向かい・もがき・苦しみ・受け入れ・逃げる、そしてまた打ちのめされてのたうち回るが立ち上がる。と言った話。

読者はそのとてつもない痛みを少しだけ、ほんの少しだけ味わった気になれる小説なのだ。

 

あと、癲癇は「てんかん」なのだが、どうしても脳内変換は「かんしゃく」。

でも、かんしゃくは癇癪だった。