赤裸楽日記

備忘録Blog

読書感想:「A」ーマスコミが報道しなかったオウムの素顔

「A」ーマスコミが報道しなかったオウムの素顔

森達也

 

この本は、森達也氏が実際の取材に基づいてまとめたドキュメントであるが、ややオウム寄りかな?この本を読んでしばらくして、オウム関係の死刑囚に刑が執行されたが、オウム寄りだからと言ってその法律に基づいた執行についてあーだこーだと言う作品ではない。

松本智津夫とかの実刑を受けた幹部連中はほとんど出てこず、末端の信者達にフォーカスが当たっているところが面白い。

 

信者達は純粋な信仰を持ってオウム真理教を信じており、そこには欺瞞が溢れているのかもしれないけど信仰ってそんなものだと私は思っている。遠藤周作原作の映画『沈黙』を見た時も感じたけど、キリスト教徒にひたすら拷問をしながら「神がいるなら何で救いに来ないのか?神がいるなら救いに来るでしょ?救いが来ないなら神はいないね。じゃあキリスト教を捨ててもいいね。」と言う正論(と言えば正論)で信者はひたすら責め苦をうける。でもそういう簡単な理屈では説明出来ないのが信仰なんだと思う。

 

私は信仰を持たないが信仰心を持つ人には偏見や軽蔑は全く持たない。それがオウム真理教に対する信仰を持っている人でも。この作品を読んでその気持ちが強くなった。

 

しかし、実際にオウム真理教が世の中でした事(肯定する事も理解する事も到底かなわない事)は全くの別問題とは出来ないのだが、数ある心境宗教の中の一つとしてたまたまオウム真理教を信じた人々と、それを認めることが出来ない人々の関係を見事にドキュメントとして描いた本作は本当に興味深く楽しかった。

 

映画も見てみたいけどソフトがなかなか手に入らない。

 

「A」―マスコミが報道しなかったオウムの素顔 (角川文庫)

「A」―マスコミが報道しなかったオウムの素顔 (角川文庫)